KRPC Ambassador Letter クリルオイルの健康促進と疾病予防の最新情報
[Vol.1] クリルの生態とクリルオイルの魅力について
オメガ3 脂肪酸は、心臓や脳、関節、肌など、私たちの健康に多くのメリットをもたらすため、「必要不可欠な栄養素」です。 クリルオイルは、オメガ3脂肪酸を豊富に含んでおり、世界的に注目されているオメガ3サプリメントです。他のオメガ3 とは異なる特長を持っていて体内への吸収効率に優れています。
さらに、リン脂質、アスタキサンチン、ビタミンの一種であるコリンが含まれています。
クリルオイルのカプセルを飲んでいる人も、その原料となるクリル(南極オキアミ)がどのような生き物なのか、深く考えたことは少ないかもしれません。
では、クリルとは一体何なのでしょうか?
クリルオイルを愛用している方も、最近知ったばかりの方も、南極の深海へと目を向けて、その魅力を探ってみましょう。
魚の名前がついているけれど、実は魚ではない!
「クリル(krill)」という名前は、もともとノルウェー語で「魚の稚魚」を意味します。しかし、クリルは魚ではなく、エビのような小さな甲殻類です。黒く大きな目と、半透明の赤みがかった体が特徴的です。
一般的な魚由来のオメガ3 サプリメントには「トリグリセリド型のオメガ3」が含まれています。この油は胃の中で浮いてしまい、消化が遅れることで「胃もたれや魚臭いゲップ」の原因になることがあります。
一方、クリルオイルは「リン脂質型オメガ3」を含んでおり、これは胃の中の食べ物や消化液とよく混ざる性質を持ち、効率的に吸収されることが促進されます。そのため、クリルオイルのオメガ3 サプリメントは胃もたれしにくく、魚の生臭さもないのです。
© AKER BIOMARINE, Inc
クリルは宇宙からも見える!
クリルは約3.5センチほどの大きさしかありませんが、なんと宇宙からも確認できるのです!
オキアミ自体は、海に生息する動物プランクトン(無脊椎動物)の一種で、世界中の海に分布しています。世界には、85種ものオキアミの種類がありますが、そのうち6種は南極海に生息しています。
特に南極海に生息するクリル「南極オキアミ(Euphausia superba)」は、地球上で最も大量に存在する単一種の海洋生物のひとつです。
南極の生態系において、クリルはクジラ、ペンギン、アザラシ、魚などの主要なエサとなる「キーストーン種(生態系の要となる種)」です。しかし、クリルは捕食されても急速に成長・繁殖するために、個体数が維持されやすい特徴をもっています。
また、食物連鎖の下位にいるため、水銀などの有害物質を体内に蓄積しにくいというメリットもあります。
クリルは、南極の海を巨大な群れ(スウォーム)で移動し、微細な藻類(植物プランクトン)を食べて成長します。特に南極での春から夏にかけては、クリルの群れがあまりにも密集しているため、地球の大気圏外からでも観測されることがあります。
海の表層近くに集まると、海面がピンクや赤色に染まって見えることがありますが、この色はクリルが食べている植物プランクトンに含まれているアスタキサンチンの成せる技です。南極海は、強い紫外線が降り注ぐ環境であり、アスタキサンチンは、強力な抗酸化作用をもつカロテノイドの一種であり、紫外線による酸化ストレスからオメガ3脂肪酸や細胞を守る役割を果たしています。

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クリルは成長と縮小を繰り返す
クリルは一生のうちに何度も成長と縮小を繰り返します。
食料が豊富な季節には大きく成長し、食料が不足する時期には小さくなるというサイクルを何度も経験します。体内に貯蔵するエネルギーは脂質やグリコーゲンです。
主たる脂質は、リン脂質型オメガ3(特にホスファチジルコリン)や中性脂肪(トリアシルグリセロール)で、EPA やDHA のオメガ3脂肪酸も含みます。
なぜオメガ3脂肪酸かというと低温でも固まりにくいため、体内での利用がスムーズに行うことができるからです。
そして貯蔵した脂質を代謝するときに、コリンが重要な役割を果たしています。
体のサイズ変化に対応するため、約13~20 日に1 回、脱皮をして殻を新しくします。
成長すれば大きな殻に、縮めば小さな殻に変わるのです。そのため、クリルの体の大きさでは年齢を判断することができません。
クリルを見たことがある人は、その大きな黒い丸い目に気づいたかもしれません。
実は、クリルの年齢は目の大きさで推測できます。なぜなら、体は成長と縮小を繰り返しますが、目のサイズは変わらないからです。
さらに、クリルの正確な年齢を知る方法として、「目の付け根にある環状の模様(アイストーク)」を数えることができます。これは木の年輪のように、年齢を重ねるごとに増えていくのです。
南極クリルの寿命は平均6年ですが、最も長生きした個体は11年も生きたという記録があります。

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クリルは深海で産卵し、浮上しながら成長する
クリルの大きさは通常約3.5cm ですが、大きな個体では最大6cm に成長することもあります。
産卵のため、メスのクリルは水深3000 メートルという深海まで潜り、直接海中に卵を産み落とします。驚くことに、1 日に最大1 万個の卵を産むことができます。
孵化した幼生(幼虫)は、ゆっくりと海面に向かって浮上しながら成長し、やがて成体のクリルへと育っていきます。
クリルは普段、表層近くでエサを食べながら栄養を蓄え、深海と表層を行き来する生活をしています。様々な層(表層・中層・海底近く)に生息し、海中で活発に泳ぎ、日中は深い場所に潜り、夜間は表層に移動するという垂直移動を行います。
この過酷な南極環境に適応するために、高度な神経制御が必要となります。コリンは、神経伝達物質であるアセチルコリンの原料となり、記憶・学習・筋肉の動きなど生命活動に不可欠な存在です。
このコリンはホスファチジルコリンというリン脂質の一種であり、オメガ3と結合して細胞膜を構成しています。
クリルがフォスファチジルコリン( オメガ3結合型) を利用する理由
環境要因 | 影響 | フォスファチジルコリン (オメガ3 結合型) の利点 |
---|---|---|
低温 | 細胞膜が硬化し 代謝低下 |
オメガ3 脂肪酸が膜を柔軟に保ち、流動性を維持。細胞の機能を保持。 EPA やDHA のオメガ3 の融点( 固体が液体になり始める温度) の低さが大きく関与。 |
高圧 | 細胞膜が 変形・圧縮 |
フォスファチジルコリンの親水性部分とオメガ3の柔軟性で膜の極端な収縮を防ぎ、安定性を維持。 |
このような適応力のおかげで、クリルは南極の極限環境下でも生存できるのです。微小生物であるクリルですが、その生態や特性は驚きに満ちています。
クリルの知られざる秘密を知ることで、クリルオイルの価値の一端をさらに知ることができるのではないでしょうか。
次回以降では、より詳細な医科学的情報や、ライフサイエンスの知見などをお伝えしていきます。