KRPC Ambassador Letter クリルオイルの健康促進と疾病予防の最新情報

[Vol.2] 細胞レベルで健康をサポートするクリルオイル

クリルオイルは、これまでのオメガ3サプリメントと同じではありません。リン脂質とコリンを含むことで、従来のオメガ3がもつ健康上の利点にとどまらず、美容やスポーツといった新たな分野での活用の可能性が広がります。
リン脂質の力によって、クリルオイルは脳・心臓・目・肝臓などといった必要な身体の部位へオメガ3とコリンを効率よく届けることを可能にします。

脳(Brain) リン脂質は、オメガ3脂肪酸の一種であるDHAを血液脳関門を通じて脳へ運ぶ働きを助けます。
肌(Skin) オメガ3脂肪酸は、肌の保湿や弾力を調整する機能を持ち、美しい素肌を維持することに役立ちます。
目(Eyes) オメガ3脂肪酸は、特に目の健康を維持するために重要であり、網膜には体内のDHAが最も集中しています。
心臓(Heart) クリルオイルには、心臓の健康をサポートする機能があり、特に空腹時の中性脂肪値を下げることで心疾患リスクの低減に役立つとされています。
肝臓(Liver) コリンとオメガ3脂肪酸は、健康な肝機能を維持するのに不可欠であり、脂質の適切な代謝を助けます。
関節(Joints) オメガ3脂肪酸は、体内の炎症を調整する重要な役割を担い、一生を通じて関節の正常な働き守ることに役立ちます。
人体図

健康を促進する4つの主な栄養素

クリルオイルは、海洋性リン脂質複合体であり、心身のコンディションを整える一助となります。その理由は、オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)、リン脂質、コリン、アスタキサンチンといった健康を支える栄養素を豊富に含んでいるからです。

オメガ3
(EPA・DHA)
これらの必須脂肪酸は、最も研究が進んでいる栄養素の一つであり、心臓・目・肝臓・脳・肌・関節などの健康を幅広くサポートすることがわかっています。
リン脂質 リン脂質は、私たちの健康にとってもすべての細胞にとっても不可欠な栄養素です。
リン脂質は「生命の分子」と呼ばれることもあり、細胞や細胞膜の強度、柔軟性、完全性を維持するのに役立ちます。
また、オメガ3脂肪酸を血液細胞の膜に取り込みやすくする働きを持ち、トリグリセリド型のオメガ3と比較して、より高いオメガ3レベルを維持することがわかっています。
コリン コリンは、神経伝達、肝機能、筋肉の働きなど、多くの生命活動に欠かせない条件付き必須栄養素です。なぜ条件付きなのかというと、体内で合成できるコリンの量はごくわずかなため、食事から摂取する必要があるからです。
アスタキサンチン 天然の抗酸化成分であるアスタキサンチンは、クリルオイルに赤い色を与えるだけではありません。酸化を防ぐ働きを持ち、クリルオイルは人工防腐剤などを必要としません。

クリルオイルは魚油よりも素早くオメガ3インデックスを上昇させる

オメガ3インデックスは、医療専門家や一般の人々の間で急速に注目を集めている栄養指標です。この指標は心血管疾患リスクの評価だけでなく、健康状態全般を把握する手がかりにもなります。

その理由は、赤血球に含まれるオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)の量が、体内の臓器や組織にすでに蓄積されているオメガ3の量を反映していると考えられているためです。体内にEPA・DHAが多く含まれているほど、身体の炎症が抑えられ、健康状態が良好である可能性が高いとされています。

EPA・DHAを摂取するとオメガ3インデックスは上昇しますが、その上昇速度や効率はオメガ3の摂取源によって異なることになります。

例えば、クリルオイルでは、EPAとDHAのオメガ3の大部分がリン脂質に結合しています。対照的に、他の海洋性オメガ3は、身体がエネルギーに使用する脂肪の形であるトリグリセリドにEPAとDHAが結合していて、これは将来のエネルギー需要のために体脂肪としても蓄えられます。

フォスファチジルコリンとトリグリセリドの分子構造図

フォスファチジルコリンとトリグリセリドの分子構造図

© AKER BIOMARINE, Inc

オメガ3の摂取源が異なるとオメガ3インデックスはどのように変化するのでしょうか。

クリルオイルに含まれるオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)は、リン脂質と結合しているため、細胞への取り込みと利用効率が向上します。

特に、EPA・DHAが赤血球膜に組み込まれやすくなり、これが心臓のEPA・DHAレベルと関連していることが示されています(1-3)。

2013年に行われた研究(4)では、健康な成人24名を対象に、クリルオイルと魚油をそれぞれ4週間摂取するクロスオーバー試験が実施されました。

その結果、同じ量のEPA・DHAを摂取した場合でも、クリルオイルの方が血中オメガ3脂肪酸の濃度を有意に上昇させ、オメガ3インデックスをより高めることが確認されました。この変化は、魚油と比較して2倍の増加が見られました(4)。

特にDHAは、脳の機能・構造・維持に不可欠であり、脳内の長鎖不飽和脂肪酸(PUFA)の約40%を占めています。

「前臨床試験」では、リン脂質と結合したオメガ3(特にDHA)が脳内により多く取り込まれることが示されていて(5,6)、現在もこの作用が脳機能や脳の健康維持に与える影響を解明する研究が進められています。

これは、クリルオイルと魚油の比較研究ではありませんが、2014年Aker BioMarine社は高トリグリセリド血症(中性脂肪が高い状態)の被験者300名を対象にした研究を実施しました。

この研究は「Nutrition Research」に掲載され、クリルオイルの摂取によりトリグリセリド(中性脂肪)が10%減少、オメガ3インデックスの上昇が確認されました(7)。

EPA・DHAは、心血管系に関連する健康リスクの軽減に役立つ可能性があります。
また、リン脂質は心血管に良い影響を与えるオメガ3脂肪酸を、必要な細胞へ届ける重要な役割を果たしています

細胞と神経の健康を支える必須栄養素コリン

コリンは、日本では食品成分表に記載されていない栄養素で、食品摂取基準も定められていません。知名度が低い栄養素ではありますが、ビタミンB群に似た働きを示しますが、厳密にはビタミンではないためビタミン様物質と呼ばれています。

2003~2004年のアメリカの国民健康・栄養調査によると、アメリカ人の90%がコリンを十分に摂取できていないことが報告されています。

  • コリンは、細胞膜の構造を維持し、細胞間の信号伝達を助けます。
  • 神経伝達物質アセチルコリンの合成にも関わります。
  • また、メチル基供与体として働き、代謝、解毒、DNAのメチル化などの重要な生理機能に関与します。
  • 細胞の水分バランスを調整します。
  • 脂質代謝の調整(脂肪の適切な分解・利用を促す)をします。
  • 特に、コリン不足は肝臓への脂肪蓄積と強く関連していることが研究で示されています(8,9)。
  • その他、コリン不足によって筋肉の損傷、神経管欠損症のリスク増加などが引き起こされる可能性があります。コリンを適切に摂取することで、記憶力の向上、心血管の健康維持、炎症マーカー低下などのメリットが期待できます。

そのため、健康を維持するためには、十分なコリンの摂取は不可欠なのです。

クリルオイル由来のコリンは、「フォスファチジルコリン」という天然の形で存在していて、食品中のコリンと同じ形態です。

動画

© AKER BIOMARINE, Inc

リン脂質であることの優位性

クリルオイルのリン脂質は、オメガ3脂肪酸とコリンを、脳、心臓、目、肝臓など、最も必要とされる身体の部位に届けます。
研究によると(7,10)、リン脂質と結合したオメガ3(EPAおよびDHA)は、より効率的に赤血球膜に取り込まれ、必要とする場所に送達されます。

また、リン脂質は細胞膜の重要な構成要素で、細胞の構造や機能に影響を与えます。細胞膜の約60%はフォスファチジルコリンというリン脂質の一つです。フォスファチジルコリンは、クリルオイルに最も多く存在するリン脂質となっています。

私たちの身体の細胞を包む細胞膜は、豊富にリン脂質を含んでいるため、リン脂質と結びついたオメガ3脂肪酸は、細胞への吸収や組織への取り込みが容易になり(4,11-16)、栄養素の利用効率が向上します。

このようにクリルオイルのリン脂質と結びついたオメガ3脂肪酸は、細胞レベルで働き、細胞膜の構造を強化します。さらに細胞の機能が向上することで、身体全体でオメガ3の健康上の利点が一層活かされます。

私たちの細胞が必要とするオメガ3の形態

© AKER BIOMARINE, Inc

(上記の図の抄訳文)

  • 私たちの細胞が必要とする(正確な)オメガ3の形態とは何でしょうか。
  • オメガ3は細胞膜に取り込まれて初めて、健康への利点をもたらします。
  • オメガ3が細胞膜に取り込まれるのは、リン脂質の形態である場合に 限られます。
  • クリルオイルに含まれるリン脂質は、細胞膜へ取り込まれます。
  1. Harris, W.S. and C. Von Schacky, The Omega-3 Index: a new risk factor for death from coronary heart disease? Prev Med, 2004. 39(1): p. 212-20.
  2. Metcalf, R.G., et al., Relation between blood and atrial fatty acids in patients undergoing cardiac bypass surgery. The American journal of clinical nutrition, 2010. 91(3): p. 528-34.
  3. Metcalf, R.G., et al., Effects of fish-oil supplementation on myocardial fatty acids in humans. The American journal of clinical nutrition, 2007. 85(5): p. 1222-8.
  4. Ramprasath, V.R., et al., Enhanced increase of omega-3 index in healthy individuals with response to 4-week n-3 fatty acid supplementation from krill oil versus fish oil. Lipids Health Dis, 2013. 12(1): p. 178.
  5. Graf, B.A., et al., Age dependent incorporation of 14C-DHA into rat brain and body tissues after dosing various 14C-DHA-esters. Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids, 2010. 83(2): p. 89-96.
  6. Liu, L., et al., Higher efficacy of dietary DHA provided as a phospholipid than as a triglyceride for brain DHA accretion in neonatal piglets. J Lipid Res, 2014. 55(3): p. 531-9.
  7. Berge K, Musa-Veloso K, Harwood M, Hoem N, Burri L. Krill oil supplementation lowers serum triglycerides without increasing low-density lipoprotein cholesterol in adults with borderline high or high triglyceride levels. Nutrition research. 2014 Feb 1;34(2):126-33.
  8. Jensen, H.H.; Batres-Marquez, S.P.; Carriquiry, A.; Schalinske, K.L. Choline in the diets of the us population: Nhanes, 2003-2004. FASEB J 2007, 21, LB46.
  9. Fischer, L.M.; daCosta, K.A.; Kwock, L.; Stewart, P.W.; Lu, T.S.; Stabler, S.P.; Allen, R.H.; Zeisel, S.H. Sex and menopausal status influence human dietary requirements for the nutrient choline. Am J Clin Nutr 2007, 85, 1275-1285.
  10. Drobnic F, Storsve AB, Burri L, Ding Y, Banquells M, Riera J, Bj?rk P, Ferrer-Roca V, Domingo JC. Krill-Oil-Dependent Increases in HS-Omega-3 Index, Plasma Choline and Antioxidant Capacity in Well-Conditioned Power Training Athletes. Nutrients. 2021 Nov 25;13(12):4237. doi: 10.3390/nu13124237. PMID: 34959789; PMCID: PMC8708578.
  11. ★ クリルオイルの吸収に関する研究

  12. Ulven, S.M.; Kirkhus, B.; Lamglait, A.; et al. (2011). Metabolic Effects of Krill Oil are Essentially Similar to Those of Fish Oil but at Lower Dose of EPA and DHA, in Healthy Volunteers. Lipids 46, 37-46 (2011).
  13. Schuchardt, J. P.; Schneider, I.; Meyer, H.; et al. (2011). Incorporation of EPA and DHA into plasma phospholipids in response to different omega-3 fatty acid formulations--a comparative bioavailability study of fish oil vs. krill oil. Lipids in health and disease, 10, 145.
  14. Köhler, A.; Sarkkinen, E.; Tapola, N.; et al. Bioavailability of fatty acids from krill oil, krill meal and fish oil in healthy subjects-a randomized, single-dose, cross-over trial. Lipids Health Dis 14, 19 (2015).
  15. Ramprasath, V. R.; Eyal, I.; Zchut, S.; et al. (2015). Supplementation of krill oil with high phospholipid content increases sum of EPA and DHA in erythrocytes compared with low phospholipid krill oil. Lipids in health and disease, 14, 142.
  16. Sung, H. H.; Sinclair, A. J.; Lewandowski, P. A.; et al. (2018). Postprandial long-chain n-3 polyunsaturated fatty acid response to krill oil and fish oil consumption in healthy women: a randomised controlled, single-dose, crossover study. Asia Pac J Clin Nutr 2018;27(1):148-157.
  17. Yurko-Mauro, K.; Kralovec, J.; Bailey-Hall, E.; et al. (2015). Similar eicosapentaenoic acid and docosahexaenoic acid plasma levels achieved with fish oil or krill oil in a randomized double-blind four-week bioavailability study. Lipids in health and disease, 14, 99.