KRPC Ambassador Letter クリルオイルの健康促進と疾病予防の最新情報
[Vol.3] 健康な細胞が、健康な身体をつくる Part1
様々な「個性」を持つすべての細胞の外側には細胞膜が存在しています。
細胞膜の60%は「フォスファチジルコリン」というリン脂質で構成されています。クリルオイルに最も多く含まれるリン脂質のひとつである「フォスファチジルコリン」は、ヒトの細胞膜と高い親和性を持つことが研究でも示されています。
「細胞とその一部である細胞膜」が、私たちの健康にどのように関わっているのかを2回に分けてお伝えします。
私たちヒトを形作る「細胞」とは
ご存じでしたか? 人体にはおよそ30兆個以上もの細胞が存在すると考えられており、数字で表すと30,000,000,000,000個もの細胞があることになります。
一般的には、「細胞」という言葉は、細胞膜で囲まれたすべての構造を指しています。
細胞の構造は、次の図表のとおりとなります。
「細胞」を構成する要素は、以下のとおりです。
細胞膜 | 細胞の一つひとつの外側を覆い、細胞内と外界(細胞外環境)を物理的に隔てるバリアともいえます。また、内と外の物質の出入りを制御しています。 |
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細胞質 | 細胞膜の内側にある液体状の領域で、さまざまな細胞小器官があります。 |
核 | 細胞の場合には、遺伝情報(DNA)を保持する場所となります。 |
ヒトの身体には約200種類以上の細胞が存在するといわれています。しかし、これらは大分類であって、例えば「免疫細胞」だけでも多様な種類のサブタイプ(T細胞、B細胞、NK細胞、マクロファージなど)があります。さらにそれぞれが異なる状態(活性型・休止型など)をとることがあります。
また、特性や形状、大きさなどが異なる「細胞タイプ」が存在します。しかし、ヒトの細胞の種類はすべて完全にわかっているわけではありません。
解析技術の進歩により、シングルセルRNA解析などの技術によって、従来では同じとされていた細胞群の中に、機能や遺伝子発現が異なる新たな細胞群が多数見つかっています。
また、国際的な「Human Cell Atlas(ヒト細胞地図)」プロジェクトでは、すべてのヒト細胞タイプを記述・分類することを目指して、現在も研究が進んでいます。
これらすべての細胞には、それぞれ私たちの健康と機能維持のための役割があります。
これらの細胞は臓器や組織を構成し、免疫系の一部として身体を守る役割も果たしています。例えば血液細胞(赤血球・白血球・血小板)のように体内を自由に移動する細胞もあれば、筋肉細胞のように互いにしっかりと結びついている細胞もあります。
細胞は身体の構造を支え、食物から栄養を取り込み、それをエネルギーに変換し、さまざまな役割に基づいて、それぞれの機能を果たしています。
「細胞」とは、まわりを覆う「細胞膜」と、その内側にあるもの全部を含んだものです。
ヒトの細胞の種類は、まだすべて完全にわかっておらず、現在も研究中です。
私たちの身体の健康は、膨大な数の微小な「生命の構成単位=細胞」の健康状態によって決まっていきます。
セルラー・ヘルス(細胞の健康)とは?
「細胞の健康」とは、細胞を最高の状態に保つことで全身の健康を支えているという考え方です。
身体全体の健康は体内の細胞の状態と働きに依存しています。そのためには、細胞が必要な栄養素を十分に受け取り、外的ストレスから守られ、本来の機能を最大限に発揮できるようにすることが重要なのです。
細胞が生きていくために、細胞は必要な栄養素や酸素を血液から受け取っています。血管は、内臓、皮膚、筋肉の中にもありますが、細胞一つひとつに栄養分などを届けるために、毛細血管は血管をできるだけ細くして細胞の近くまで血液を届けるようなつくりとなっています。
細胞は必要な栄養分を血液から受け取り、細胞の中でエネルギーを作り、そのエネルギーを使って「生きている」のです。
200種類以上ある私たちの身体の細胞について、もう少し具体的にみてみましょう。
細胞の大きさについて、多種多様な細胞の一部ですが、以下の図表をご覧ください。
(1µmマイクロメートル=1/1,000ミリメートル)
ヒトの細胞 | 約10〜30µm(約0.01~0.03mm) |
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赤血球 | 約6〜8µm(約0.006~0.008mm) |
神経細胞 (ニューロン) |
本体は大きく20〜100µmほど。軸索は非常に長い神経細胞から伸びる突起で、神経回路の配線に相当する部分。(数10cm〜1m以上) ヒトの細胞で最も長い細胞は、足先から腰まで繋がっている坐骨神経細胞で1m以上あります。 |
卵細胞 | 直径 約100µm(体内で最大の細胞) |
精子 | 約2.5µm(体内で最小の細胞) |
リンパ球 | 直径約5µm(体内では小さな細胞の一つ) |
様々な個性をもつ細胞ですが、特徴的な細胞をいくつかをみてみましょう。
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通常のヒト細胞は核を1つしか持ちませんが、多核細胞は複数の核を持っています。
一例 骨格筋細胞(筋線維)、破骨細胞(骨を吸収する細胞)。 特徴 細胞融合などによってできる。大きな細胞の一種で多くのタンパク質の産生が可能です。
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血液細胞の一つで、細胞としては核を持たないという点で非常にユニークです。
通常は、細胞の中には核があり、核の中にはDNA、そしてDNA上には遺伝子があります。また、赤血球にはミトコンドリアもありません。ヒト細胞で最も多いのは赤血球、全細胞の約70%~84%を占めると推定されています。機能 酸素を運搬するため、内部をヘモグロビンで満たす構造になっています。 寿命 約120日。 特性 赤血球の変形能は重要で、変形しなければ赤血球よりも狭い毛細血管を通過することができません。オメガ3脂肪酸(EPAやDHAなど)が赤血球膜に取り込まれると、赤血球の変形能が上昇し血流改善に役立ちます。
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免疫系の特殊な細胞で、異物を「見張る」役目を担います。
一例 樹状細胞、マクロファージ。 特徴 感知能力に特化し、異常を検知すると他の免疫細胞を活性化します。
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分化していない細胞で、さまざまな細胞に変化できる能力を有します。
一例 ES細胞(胚性幹細胞)、iPS細胞(人工多能性幹細胞)。 特性 他の細胞とは異なり「変化する前」の段階にあるのが特徴です。
最近では、『大阪・関西万博』に展示されているiPS細胞から作られた『ミニ心臓』が注目されています。
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大脳皮質と海馬にある特異な形状の神経細胞(ニューロン)で、ピラミッド型の細胞体と長い樹状突起が特徴です。
DHAはシナプス(神経細胞同士が情報を伝達する接合部)形成を促進し、神経新生や記憶定着を助けます。
「神経細胞は一度失われたら再生しない」。これは長い間の常識でしたが、現在では一部の神経細胞は生まれ変わることがわかっています。成人でも「神経新生」が海馬や嗅球(鼻腔内嗅細胞からの匂い情報を処理する部位)で起こることがわかっています。機能 学習・記憶・意思決定など、高度な脳機能に関与しています。 特長 構造が複雑で、情報処理能力が非常に高い。
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細胞分裂を停止した後も生き続けて「炎症性サイトカイン」など周囲の細胞に悪影響を及ぼす物質を放出することで、組織の機能低下や加齢性疾患を引き起こす原因とも考えられています。この特殊な細胞は「ゾンビ細胞」とも呼ばれ、加齢に伴って体内に蓄積します。
活用分野 アンチエイジング、老化疾患、がん研究。 先端性 近年注目されている「セノリティクス(老化細胞除去薬)」のターゲットとなっています。
細胞の健康を支える「リン脂質」
細胞膜は、細胞を保護する役割を果たし、正常な発達・機能・生存・増殖にとって不可欠な存在です。
私たちの体内のすべての細胞は、「リン脂質二重層」と呼ばれる膜に包まれています。リン脂質は「生命の分子」とも呼ばれ、自然に存在する細胞の構成要素です。そして細胞や細胞膜の強度・柔軟性・完全性・統合性を保つ役割を担っています。
クリルオイルは、細胞膜の強度・柔軟性・完全性・統合性のいずれの維持にも寄与します。これは、クリルオイルに豊富に含まれる「リン脂質結合型オメガ3脂肪酸(EPAやDHAなど)」の働きによるものなのです。
私たちの体内のすべての細胞は、リン脂質が二重に重なった「リン脂質二重層」という薄い膜に覆われています。
クリルオイルは、細胞膜の健全性を保つうえで重要な役割を果たします。
リン脂質二重層のイメージ画像

© AKER BIOMARINE, Inc
※[Vol.4]では、「細胞膜」についてフォーカスした内容でお届けします。
~イベント・シンポジウムのお知らせ~
イベント・シンポジウム名 | 概要説明 |
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1)「次世代のオメガ3機能性研究最前線 |
当社団法人の首席科学顧問の矢澤博士がファシリテーターを務めオメガ3素材の研究最前線を日本脂質栄養学会理事長・守口博士、理化学研究所生命医科学研究センター・磯部博士、京都大学農学研究科・小川教授等が登壇され報告します。 |
2)『ヘルシーエイジング~健康的な加齢~』 |
当社団法人の首席科学顧問の矢澤博士が座長を務め、WHOが2020年に打ち出した高齢期の「ウェルビーイング=ヘルシーエイジング(健康に老いる)」について、同志社大学アンチエイジングリサーチセンター・米井教授等が登壇され報告します。 |