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[Vol.11] 健康な細胞が、健康な身体をつくる Part9あなたの毎日の選択が細胞を変える(:分化と成長のヒント)

前回(Vol.10)までは、細胞膜の9つの役割のうち

「1.物質の選択的透過性」
「2.情報伝達(シグナル伝達)」
「3.細胞の保護・防御機能:守りの壁」
「4.細胞の形状保持と構造の保持:袋と骨組み」
「5.細胞間のコミュニケーション:他の細胞との「チームプレー」」
「6.エネルギー代謝・物質輸送:栄養やエネルギーの“通路”」

について取り上げ、それらの特徴が損なわれた場合に身体にどのような不調や影響が出るのかをお伝えしました。

今回は、「7.細胞の増殖や分化の調節:成長や分裂をコントロール」についてご説明していきます。

あなたの毎日の選択が細胞を変える(:分化と成長のヒント)

連日の猛暑で、寝苦しい夜を過ごしていませんか。ぐっすり眠れず朝は身体がだるく、日中も疲れやすい――そんな経験を、多くの方がされていることでしょう。食欲も自然と落ち、冷たい飲み物や簡単な食事で済ませてしまう日々。身体の表面では「暑さに耐える」ことに精いっぱいですが、実はその影響は身体の奥深く、細胞のサイクルにも及んでいます。

細胞一つひとつにも「一生」があります。生まれ、成長し、それぞれの役割を果たした後、やがて古くなり、死を迎えて新しい細胞と入れ替わる。このサイクルを繰り返すことで、私たちの身体は常に新しく保たれています。肌が生まれ変わるのも、血液が入れ替わるのも、すべては細胞のこうしたサイクルが途切れることなく働いているからです。

しかし、この一連の流れを支えているのが「細胞の増殖や分化」というはたらきであり、暑さによる睡眠不足や食生活の乱れは、その精緻なリズムを乱す要因となります。とりわけ、寝苦しい夜にスマホを眺め続けると、ブルーライトで睡眠ホルモンの分泌が減り、細胞の修復や成長に欠かせない深い睡眠が十分に得られなくなります。(※参考:1~4)
また、体温調節の乱れも代謝サイクルに影響し、細胞の一生における「正しい入れ替わり」に負担をかけてしまうのです。

そして、このサイクルの健やかな営みを支える上で、意外に見落とされがちなのが食事の中の「油」や「脂質の質」です。細胞膜は脂質でできており、その質が悪ければ情報伝達や細胞の入れ替わりは滞りがちになります。逆に、質の良い脂質を取り入れることで、細胞膜はしなやかに保たれ、栄養やシグナルの受け渡しも円滑になります。これは、酷暑による疲れや不調が積み重なりやすい今こそ、大きな意味を持つのです。
細胞は一つひとつが生まれ変わりながら、私たちの身体を守り続けています。その営みを支えるために、生活習慣の見直しに加えて、毎日の食事でどのような脂質を摂るかを意識することが、この夏を健やかに乗り越える力となるでしょう。

今回は、細胞膜が担っている9つの役割のうち、「7.細胞の増殖や分化の調節:成長や分裂をコントロール」についての機能が損なわれたときに、私たちの身体にはどのような不調や変化が現れるのかをご説明していきます。

【細胞膜の9つの役割】

細胞の増殖と分化のいろは。

  • 細胞の増殖とは?
  • 細胞が分裂して数を増やすこと。身体の組織を維持したり、傷を修復したりするために必要です。

  • 細胞の分化とは?
  • 未分化の細胞(例えば幹細胞)が特定の機能を持つ細胞に変化することです。
    例:血液幹細胞 → 赤血球・白血球・血小板

  • 遺伝子の役割とは?
  • 遺伝子は、細胞の核にある細胞の増殖や分化の設計図。
    DNAの中にある遺伝子は、どのタンパク質を作るかを指示します。
    タンパク質の種類や量によって、細胞の性質(増殖するか、どの細胞に分化するか)が決まります。

  • 細胞の増殖のコントロール、スイッチ、調整とは?
  • 細胞周期*を進めるタンパク質は遺伝子によって作られます。遺伝子のスイッチが正しく入らないと、増殖が止まったり、逆に制御不能に増えたりします。
    → がんはこの異常の代表例。

    * 細胞周期とは、細胞が「分裂して増える」までの一連の流れを指します。細胞は無秩序に分裂するのではなく、一定のステップを踏んで、増殖や分化の準備を整えながら進んでいきます。正常な細胞周期は、健康な細胞の維持や組織の修復が正常に行われます。

  • 細胞の分化のスイッチとは?
  • 特定の遺伝子群(転写因子)がオンになることで、細胞は分化の道を進みます。
    例:神経幹細胞では「NEUROD1」や「SOX2」などの遺伝子が分化方向を決めています。
    分化の方向は、エピジェネティクス*(DNAメチル化やヒストン修飾)でも調整されます。
    → 生活習慣や栄養がこのスイッチに影響を与えることもあります。

    * 遺伝子の設計図そのものは変わらなくても、どの遺伝子が「働くか・働かないか」を調整する仕組みのこと。
    食事や運動、睡眠、ストレスなどの生活習慣や環境の影響で変わることがあり、健康や病気、老化のスピードに関係しています。

  • まとめ
    • 細胞の増殖・分化の「設計図」は遺伝子にあります。
    • エピジェネティクスは、細胞の増殖・分化の「スイッチ」
    • エピジェネティクスは外部からのシグナルによって、細胞への指令のタイミングや強さが調整されます。
      
順序 増殖(細胞をふやす) 分化(役割を決める)
1 外から「成長因子・ホルモン・栄養」が届く 外から「栄養・分化シグナル(成長因子・ホルモン・細胞接触など)」が届く
2 細胞膜の受容体が合図を受け取る 細胞膜の受容体が合図を受け取る
3 シグナル伝達経路(MAPK、PI3K/Aktなど)が作動 シグナル伝達経路(MAPK、Notch、Wntなど)が作動
4 核で「増殖関連遺伝子(サイクリン、CDKなど)」がON 核で「分化関連遺伝子(MyoD、NeuroD、GATA1など)」がON
5 増殖に必要なタンパク質が作られる 分化に必要なタンパク質が作られる
6 DNA複製 → 細胞分裂 → 細胞数が増える 細胞の形や働きが変化 → 特定の役割を持つ細胞になる

核

7.細胞の増殖や分化の調節:成長や分裂をコントロール

生活習慣や生活環境による影響の可能性

私たちの細胞は、ただ遺伝情報に従って自動的に増えたり分化したりしているわけではありません。実際には、日々の生活習慣や環境から受ける刺激によって、その働きや質が大きく左右されます。つまり、「細胞の増殖・分化は、私たちの日常の選択に反応する柔軟なシステム」なのです。

  1. 食事の影響
  2. 栄養素は、細胞が分裂・成長するための材料になります。
    例えば、良質なたんぱく質は新しい細胞の構成要素となり、ビタミンやミネラルは酵素反応や細胞内シグナルに不可欠です。

    不足や偏りがあると、細胞分裂のスピードが落ちたり、分化の質が低下したりします。例えば、亜鉛やビタミンB群が不足すると、皮膚や粘膜の細胞再生が遅くなることが知られています。

  3. 運動の影響
  4. 適度な運動は、血流を通じて酸素や栄養素を細胞に届けやすくし、細胞の活性化を促します。

    逆に長時間の座りっぱなしや過度な運動は、細胞ストレスや炎症を引き起こすことがあり、分裂や分化に悪影響を与えることがあります。

  5. 睡眠と生活リズムの影響
  6. 睡眠中に分泌される成長ホルモンやメラトニンは、細胞の修復・再生に重要です。
    睡眠不足や不規則な生活リズムは、細胞分裂のタイミングを狂わせ、分化の質の低下につながります。

  7. ストレスや心理的環境の影響
  8. 慢性的なストレスは、コルチゾールなどのホルモンを介して細胞分裂を抑制することがあります。

    心身のリラックス状態は、細胞の「正常な成長と分化」をサポートする環境となります。

  9. 外的環境の影響
  10. 紫外線、化学物質、汚染物質などは、細胞DNAや膜にダメージを与え、正常な分裂や分化を妨げることがあります。

    一方で、適度な光や自然環境は、ホルモンや神経系を通して細胞の活動を健やかに保つ効果があります。

  11. 酷暑
    • 熱ストレスによる細胞膜の影響
    • 高温になると、細胞膜を構成する脂質(二重層)が柔らかくなりすぎます。
      柔らかすぎる膜では、栄養や酸素の取り込み、老廃物の排出がスムーズに行えなくなります。
      結果として、細胞の「成長スイッチ」がうまく働かず、増殖や分化のペースが乱れる可能性があります。

    • 熱によるタンパク質・酵素の影響
    • 細胞内で増殖や分化を制御する酵素やタンパク質は温度に敏感です。
      高温になると構造が変化し、働きが弱まることがあります。
      特に熱ストレスは、DNA複製や細胞分裂に関わる酵素の働きを阻害し、正常な分化に遅れや異常を起こすことがあります。

    • 酸化ストレスの増加
    • 暑さで体内の活性酸素が増えると、細胞にダメージが蓄積されます。
      ダメージを受けた細胞は分裂や分化の速度が低下したり、誤った方向に分化することがあります。

    • 熱によるホルモンやシグナルの変化
    • 高温環境ではストレスホルモン(コルチゾールなど)が増え、細胞の成長や分化を促すシグナルが弱まることがあります。

      特に免疫細胞や皮膚細胞など、環境に敏感な細胞ほど影響を受けやすいです。

      
細胞膜への影響

細胞膜は単なる“壁”ではなく、細胞の情報センターのような存在です。ここには、外部からの刺激を受け取る受容体や、細胞間で情報をやり取りするためのタンパク質が埋め込まれています。細胞膜の性質が変わると、これらの情報の受け渡しが正確に行えなくなり、細胞の振る舞い全体に影響が出ます。

  1. 細胞膜の柔軟性と情報伝達
    • リン脂質バランスが整っている膜は、流動性が高く柔らかいため、受容体や輸送体が自由に動き回れます。
    • これにより、細胞が外部からのシグナル(成長因子やホルモンなど)を正確に受け取り、必要な増殖や分化の指令を適切に実行できます。
    • 逆に膜が硬くなると、受容体が動きにくくなり、信号の受け取りや情報の伝達が鈍化。結果として、細胞は本来の働きを失い、老化やがん化のリスクが高まります。
  2. 脂質の種類による影響
    • オメガ3脂肪酸(EPAやDHAなど)が十分にある場合:
    • 細胞膜は柔らかく流動性を保てます。
    • 細胞間のコミュニケーションがスムーズになり、免疫や代謝も効率的に行われます。
    • トランス脂肪酸や酸化脂質が多い場合:
    • 細胞膜は硬く不安定になり、受容体やチャネルの働きが鈍化。(※参考:5~9)
    • 成長や分化のシグナルが正確に伝わらず、細胞の寿命や機能低下、老化促進、がん化リスク上昇につながります。(※参考:10~11)
  3. 日常での例え
    • 細胞膜を“街の交差点”に例えると、受容体やチャネルは信号機や交差点の標識のようなもの。
    • 細胞膜が柔らかく整っていると、信号機は正常に動き、車や人(=情報)がスムーズに流れます。
    • 細胞膜が硬くなったり歪んだりすると、信号機が正しく作動せず、交通渋滞や事故(=情報の誤伝達)が起こるイメージです。
  4. 細胞膜の健康が保証するもの
    • 情報の正確性:どのシグナルを受け取り、どう応答するかを細胞が正しく判断できます。
    • 細胞の協調:組織や臓器全体の機能が維持されます。
    • 老化防止・病気予防:膜の柔軟性が保たれることで、ストレスや有害物質への耐性も高まります。
機能の低下による不具合
1. 傷や炎症の治りが遅い(再生力低下)

細胞の増殖や分化が正常に行われないと、皮膚や組織の修復に関わる細胞が十分に増えず、損傷した組織の再生が遅れます。

具体例 軽い切り傷や打撲でも治るのに時間がかかる、慢性的な皮膚炎や潰瘍が長引く。
メカニズム 表皮細胞や線維芽細胞が適切に分化して増えないため、新しい皮膚や血管が作られにくくなります。
日常のイメージ 建物の修理工事が職人不足で進まない状態に似ています。材料(栄養や細胞)が揃っても、人手(分化・増殖)が足りないため完成が遅れるイメージです。
2. 免疫細胞が正しく分化できず、感染症やアレルギーが悪化

免疫系の細胞(リンパ球やマクロファージなど)は、特定の機能を持つ細胞に分化することで正常に働きます。

具体例 風邪や感染症にかかりやすくなる、アレルギー症状が強く出る、ワクチンの効果が弱まることも。
メカニズム 骨髄での白血球の分化異常やリンパ球の成熟障害により、感染に対する防御力が低下。逆に過敏に反応するとアレルギーが悪化します。
日常のイメージ 会社で新入社員の教育が不十分だと、仕事が滞ったりミスが増えるのに似ています。免疫細胞が「教育不足」で本来の役割を果たせない状態です。
3. 脳神経細胞の新生が滞り、認知機能の低下につながる

海馬などの脳では、記憶や学習に関わる神経細胞が新たに生まれます(神経新生)。細胞の増殖・分化が低下すると、この過程が滞ります。

具体例 記憶力の低下、集中力の低下、気分の変動やうつ症状の悪化など。
メカニズム 神経前駆細胞が十分に増えず、シナプス形成や情報伝達が効率的に行えなくなります。
日常のイメージ 新しい道路が作られず、交通が渋滞するように、脳内の情報のやり取りが滞るイメージです。
4. 骨芽細胞の分化異常 → 骨粗しょう症リスク増加

骨は古い骨が壊される(破骨細胞)と、新しい骨が作られる(骨芽細胞)ことで健康を保っています。分化が乱れると骨芽細胞が十分に骨を作れません。

具体例 骨密度が低下し、骨折しやすくなる。特に背骨や手首、股関節の骨折リスクが増加。
メカニズム 骨芽細胞が分化不足になると、カルシウムやリン酸の沈着が不十分で、骨の強度が低下します。
日常のイメージ 建物の基礎工事が不十分で、強度の弱い建物になるイメージです。見た目は大丈夫でも、ちょっとした衝撃で壊れやすくなります。
起こりやすい不調や目に見える変化

私たちの身体のあらゆる組織は、日々古い細胞が新しい細胞に入れ替わることで健康を維持しています。この「細胞のターンオーバー」がスムーズに行われないと、体のあちこちに不調や目に見える変化として現れます。具体的には次のようなサインがあります。

ターンオーバーの遅延 皮膚の表面に古い角質がたまりやすくなり、肌がくすんで見える。
乾燥 細胞の入れ替わりが遅れることで、水分保持力が低下。
しみ・しわ 古い細胞が残ることで色素沈着や弾力低下が進み、しみや小じわが目立つようになる。
弾力低下 コラーゲンやエラスチンの生成が遅れるため、肌のハリや弾力が失われていく。
薄毛や抜け毛 毛包(髪の根元)が十分に活性化されず、髪が細くなったり抜けやすくなる。
白髪の増加 髪の色素を作るメラノサイトの働きが鈍くなり、白髪が増えやすくなる。
割れやすくなる 爪を構成する細胞が十分に供給されないため、もろくなりやすい。
成長の遅れ 爪の成長速度が遅くなり、健康的な見た目を保ちにくくなる。
全身
疲労感 古い細胞がうまく新しい細胞に置き換わらないことで、身体の機能が低下しやすい。
免疫低下 免疫細胞のターンオーバーが遅れることで、感染症や炎症に対する抵抗力が弱くなる。
慢性的な炎症 古くなった細胞や老廃物が体内に残ることで、炎症が続きやすくなる。

これらの症状は単なる「老化現象」と片付けられがちですが、実際には「身体の細胞がスムーズに入れ替われていないサイン」です。つまり、肌・髪・爪・全身の不調は、細胞の健康状態やターンオーバーの乱れを映し出す鏡のようなものです。

関連する疾患や症状、病態(病気につながる体内の状態)

疾患・症状 説明 主な影響・特徴
がん 細胞分裂の制御が失われ、異常に増殖する状態 腫瘍形成、周囲組織の圧迫や破壊、臓器機能低下
動脈硬化 血管内皮細胞の修復異常や慢性的炎症により血管が硬化 血管狭窄・閉塞、血圧上昇、心筋梗塞や脳梗塞のリスク増加
自己免疫疾患 免疫細胞の分化異常により自己組織を攻撃 関節炎、皮膚炎、内臓障害など多様な症状
神経変性疾患
(アルツハイマー、パーキンソンなど)
神経細胞の再生・分化が不十分で神経機能が低下 記憶障害、運動障害、認知機能低下
皮膚疾患
(乾癬、アトピー)
角化異常や免疫反応の亢進により皮膚のバリア機能が乱れる かゆみ、赤み、炎症、皮膚の乾燥・肥厚
美容・アンチエイジング面での影響
  1. ターンオーバーの正常化 → シミ・くすみの改善、透明感ある肌
    • 肌のターンオーバー(表皮細胞の生まれ変わり)が正常に行われることで、古くなった角質やメラニンが効率よく排出されます。
    • 結果として、シミやくすみが目立ちにくくなり、肌表面が明るく、透明感のある印象に。
    • ターンオーバーが乱れると、肌がゴワつきやすく、化粧ノリも悪くなります。
  2. コラーゲン産生の維持 → ハリと弾力のある肌
    • 真皮のコラーゲンやエラスチンは、肌のハリや弾力を支える重要な構造要素です。
    • 細胞膜や周囲環境が健康であれば、線維芽細胞のコラーゲン産生能力が保たれます。
    • コラーゲン量が減ると、たるみやしわが増え、老けた印象になりやすいです。
  3. 毛髪の健康維持 → 抜け毛予防、発毛促進
    • 毛包(毛の根元)も細胞の集まりであり、ターンオーバーや細胞分化が正常であることが発毛の条件です。
    • 栄養や酸素の取り込みがスムーズであれば、毛髪は太く、コシのある状態を保てます。
    • 細胞膜の健康が損なわれると、栄養供給が滞り、抜け毛や細い髪の原因になります。
  4. 抗炎症作用 → 赤み・炎症・ニキビの抑制
    • 健康な細胞膜や細胞間コミュニケーションは、免疫応答を適切に制御する役割があります。
    • これにより、炎症性サイトカインの過剰産生が抑えられ、肌の赤みやニキビ、炎症の悪化を防ぎます。
    • つまり、肌トラブルが起きにくい状態を維持できます。
  5. 老化の遅延 → 幹細胞の分化能を保ち、組織の若々しさを維持
    • 幹細胞は組織の修復や再生に重要な役割を持ちます。
    • 細胞膜が健康でシグナル伝達が正常であれば、幹細胞は適切に分化し、組織の若々しさや機能を維持できます。
    • 結果として、肌だけでなく、毛髪や爪、血管、筋肉など全身のアンチエイジングにも寄与します。
今回のまとめ

私たちの細胞の増殖や分化は、生まれ持った遺伝子情報に基づきながらも、毎日の生活によって大きく左右されます。細胞膜は単なる“壁”ではなく、情報のやり取りや物質の出入りを司る重要なハブであり、その状態が健康や美容に直結します。

特に、毎日の食事や睡眠、運動、ストレスのコントロール、紫外線対策などの生活習慣は、細胞や遺伝子が本来の働きをしやすい環境に影響を与える可能性があります。その結果、肌のハリや透明感、免疫力、エネルギーの使われ方など、体調や見た目に変化が現れることがあります。

つまり、私たちが日々何を食べ、どう過ごすかといった小さな選択の積み重ねが、細胞の健康と遺伝子の働きに良い影響を与える可能性となり、長い目で見た健康や美容につながるのです。

~ お知らせ ~

「細胞膜の9つの役割」をご説明した後、弊社団の最高科学顧問・矢澤一良博士に皆様のご質問をお訊きする新企画『矢澤博士に聞いてみた(仮題)』をスタートいたします。

そこで、読者の皆様から矢澤博士へのご質問を募集いたします。
食と健康について、またクリルオイルについてなど身近な疑問をお寄せください。

       
  1. Zaffanello M, Pietrobelli A, Cavarzere P, Guzzo A, Antoniazzi F. Complex relationship between growth hormone and sleep in children: insights, discrepancies, and implications. Front Endocrinol (Lausanne). 2024 Jan 24;14:1332114. doi: 10.3389/fendo.2023.1332114. PMID: 38327902; PMCID: PMC10847528.
  2. Chaix A, Zarrinpar A, Miu P, Panda S. Time-restricted feeding is a preventative and therapeutic intervention against diverse nutritional challenges. Cell Metab. 2014 Dec 2;20(6):991-1005. doi: 10.1016/j.cmet.2014.11.001. PMID: 25470547; PMCID: PMC4255155.
  3. Elkhenany H, AlOkda A, El-Badawy A, El-Badri N. Tissue regeneration: Impact of sleep on stem cell regenerative capacity. Life Sci. 2018 Dec 1;214:51-61. doi: 10.1016/j.lfs.2018.10.057. Epub 2018 Oct 28. PMID: 30393021.
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