KRPC Ambassador Letter クリルオイルの健康促進と疾病予防の最新情報
[Vol.20]老化は止められるのでしょうか?予防医学で紐解く「老化に関わる12の視点」とその関係性
三月を迎え、街の景色にもわずかな春の気配が感じられる頃となりました。
やわらぐ光、少しずつ伸びる日脚。自然界は確かに次の季節へと歩みを進めています。
けれど私たちの身体は、まだ冬の影響を内側に抱えたままです。
寒さによる緊張、血流の滞り、日照不足によるリズムの揺らぎ。
忙しい日常の中では気づきにくいものの、身体の奥では静かな負担が積み重なっています。
「病気ではないけれど、本調子でもない」
そんな感覚を覚えることはありませんか。
- 眠りが浅い
- 疲れが抜けにくい
- 集中力が続かない
- 肌の調子が揺らぐ
数値に現れるほどではなく、医療の対象になるわけでもない。
しかし確かに存在する、この“あいだ”の状態。
近年、こうした段階に目を向ける考え方が、予防医学として広がりつつあります。
不調が明確な症状として現れる前に、身体のバランスの揺らぎに気づき、整えていくという視点。
それは、単に病気を避けるためだけではなく、本来備わっている調整力を引き出すためのアプローチでもあります。
春という新しい循環が始まる前の今こそ、身体の内側の環境を静かに見つめ直す好機です。
新シリーズ『矢澤博士に聞いてみよう!!』の第7回です。
読者の皆様よりお寄せいただいたご質問に、矢澤博士が科学的な視点で解説する形式でお届けします。
今号の「読者からのご質問」は
結論から申し上げると、現在の医学では老化を“止める”方法は確立されていません。
しかし近年、老化の理解は大きく進みました。
老化は単なる年齢の問題ではなく、身体の中で起きる複数の変化が絡み合う現象だと考えられるようになっています。
私たちは誰しも年齢を重ねます。しかし「年齢」と「老化」は同じではありません。
同じ年齢でも、
- 若々しい印象の方
- 慢性的な疲労を抱えている方
- 肌や体力に大きな差がある方
がいます。
なぜこの差が生まれるのでしょうか。そこに、現代の予防医学の視点があります。
今号は、「予防医学の考え方を軸に、“今は見えなくても、身体の基礎を整える”という発想」について、矢澤博士に詳しく教えていただきます。
プロフィール
農学博士 矢澤 一良 先生
(Kazunaga Yazawa)
早稲田大学 ナノ・ライフ創新研究機構 規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門 部門長
| 1972年 | 京都大学・工学部・工業化学科 卒業 |
| 1973年 | (株)ヤクルト本社・中央研究所入社、微生物生態研究室勤務 |
| 1986年 | (財)相模中央化学研究所入所(主席研究員) |
| 1989年 | 東京大学より農学博士号を授与される |
| 2002年 | 東京水産大学大学院(現東京海洋大学大学院) 水産学研究科 ヘルスフード科学(中島董一郎)寄附講座(客員教授) |
| 2012年 | 東京海洋大学 特定事業「食の安全と機能(ヘルスフード科学)に関する研究」プロジェクト(特任教授) |
| 2014年 | 早稲田大学ナノ理工学研究機構 規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門(研究院教授) |
| 2019年より現職 | |
| ライフワークは、「食による予防医学」、「オール世代フレイル対策」など。 | |
老化は止められるのでしょうか?
予防医学で紐解く「老化に関わる12の視点」とその関係性
老化のいろは
しわや白髪だけでなく、細胞レベルでの変化が背景にあります。
老化とは、細胞や組織の機能が徐々に変化し、恒常性(体のバランスを保つ力)が低下していく現象と考えられています。
具体的には、
- 修復に時間がかかる
- 炎症が長引きやすい
- エネルギーが不足しやすい
- 細胞の情報伝達が鈍くなる
といった変化が積み重なっていきます。
これらは急激に起きるのではなく、長い年月の中でゆるやかに進行します。そのため自覚しにくいのが特徴です。
ただし、老化の進行がさまざまな疾患リスクと関連することが知られています。
しかし、進行のスピードには個人差があることが分かっています。
その差には、
- 遺伝的要因
- 生活習慣
- 栄養状態
- 慢性炎症の程度
- 代謝状態
などが関係している可能性があります。
つまり、「どう年齢を重ねるか」は調整できる余地があると考えられています。
しかし、進行を緩やかにすることは可能です。「進行に影響する可能性のある要素」は研究されています。老化は「年齢」そのものではなく、体内で起こるさまざまな変化の積み重ねです。
その変化の多くは、日々の生活習慣や体内環境によって左右されます。
医療には大きく三つの段階があります。
※表は横にスライドしてご覧いただけます。
| 区分 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 一次予防 | 発症を防ぐ | 食事改善・運動・睡眠 |
| 二次予防 | 早期発見 | 健康診断 |
| 三次予防 | 重症化防止 | 治療 |
近年特に重視されているのが一次予防です。身体は突然壊れるわけではありません。
その前に、静かに機能低下が始まっています。
- 疲れやすい
- むくみやすい
- 肌が乾燥しやすい
- 眠りが浅い
これらは単なる「年齢のせい」ではなく、体内の変化のサインかもしれません。
老化との関係では、次のような側面があります:
- 生活習慣改善による老化予防
- 適度な運動、バランスの良い食事、十分な睡眠
- 慢性炎症や酸化ストレスを抑えることができる
- 早期発見・早期介入
- 定期的な健康診断や血液検査で、加齢に伴う変化を早めに察知
- 生活習慣の見直しやサプリメント・栄養介入で対応
- 細胞レベルでの健康維持
- 最近の研究では、ミトコンドリア機能、細胞膜の質、抗酸化物質の補給などが老化スピードに影響すると言われています
- 予防医学的アプローチは、これらの細胞機能を支える栄養や生活習慣の調整にも重きを置く
- 慢性疾患予防
- 老化は心血管疾患、糖尿病、認知症などのリスクと密接に関係
- 予防医学によりこれらの発症リスクを下げることで、健康寿命を延ばすことができる
近年では、
- 健康寿命の延伸
- フレイル予防
- 老化スピードの緩和
といった視点も重視されています。
老化研究は、この予防医学の中心テーマのひとつになっています。
老化に関わる主な12の要素
現在の生物学では、複数の要素が絡み合う現象と考えられています。
ここでは、予防医学の視点から整理した
「老化に関わる12の要素」を続けてご紹介します。
老化に関わる主な12の要素
- 慢性炎症
- 酸化ストレス
- 糖化(AGEs)
- ミトコンドリア機能低下
- 細胞老化(セネッセンス)
- テロメア短縮
- エピジェネティック変化
- ホルモン応答性低下
- 細胞間コミュニケーション低下
- 細胞膜機能低下
- 免疫老化
- 幹細胞機能低下
【炎症・酸化関連】
【細胞機能低下関連】
【情報・調整関連】
【構造・再生関連】
老化とは、これらが重なり合って進行する現象です。
急性炎症は傷や感染を治すために必要ですが、慢性炎症は長期間続き、組織を傷つけます。
- 動脈硬化
- 糖尿病
- 認知機能低下
- 皮膚老化
これらの背景には慢性炎症が関わっていると考えられています。
女性にとっては、
- 肌の赤み
- くすみ
- ハリ低下
などにも影響すると考えられています。
しかし過剰になると、
- DNA損傷
- 脂質の酸化
- たんぱく質変性
を引き起こします。
紫外線や喫煙、ストレスも酸化を増やします。肌ではコラーゲンが傷つき、シワやたるみにつながります。
糖化は、
- 血管硬化
- 皮膚の黄ぐすみ
- 弾力低下
に関与します。
甘い物だけでなく、血糖値の乱高下が問題です。
機能が低下すると、
- 疲れやすい
- 冷え
- 代謝低下
が起こります。
加齢とともに数も質も低下します。
この仕組みを「エピジェネティクス」と呼びます。
食事や運動、睡眠といった日々の習慣が、遺伝子の働き方に影響を与えるのです。
しかし、体の受容体(ホルモンを受け取るセンサー)の感受性が低下すると、指令が十分に伝わらず、ホルモンが本来の働きを発揮できなくなります。
この変化は、特に更年期以降の身体の変化にも関係しています。
しかし、炎症が長く続くと、この情報のやり取りがうまくいかなくなります。
その結果、肌ではコラーゲンの生成が減り、ハリや弾力の低下につながることがあります。
- 栄養や酸素など必要な物質を細胞内に取り込む
- 細胞同士で情報をやり取りする
- 炎症の調整にも関わる
この働きを十分に保つためには、細胞膜を構成する脂質の質が非常に大切です。
脂質のバランスが崩れると、細胞の働き全体に影響が出る可能性があります。
一部の免疫は過剰に反応し、一方で防御力は低下します。
その結果、感染症にかかりやすくなったり、体の中で慢性的な炎症が起こりやすくなったりします。
しかし年齢とともに数や働きが減少するため、体の修復や再生がゆっくりになってしまいます。
※表は横にスライドしてご覧いただけます。
| 老化の サイン |
起きていること | 美容への 影響 |
生活習慣 改善ポイント |
|---|---|---|---|
| 慢性炎症 | 体内で炎症が低レベルで長期間続き、血管や細胞に影響 | シミ・しわ・ハリ低下・赤み | 睡眠改善、抗炎症食材、ストレス管理 |
| 酸化ストレス | 活性酸素が増え、抗酸化力で処理しきれず細胞や脂質が酸化 | シミ・くすみ・たるみ・光老化 | 紫外線対策、抗酸化栄養素、禁煙・節酒 |
| 糖化(AGEs) | 血糖の上昇によりタンパク質が糖と結合して変性し、AGEsが蓄積 | 肌の弾力低下・黄ぐすみ・しわ | 血糖コントロール、抗糖化食、運動 |
| ミトコンドリア 機能低下 |
細胞のエネルギー生産能力が低下 | ターンオーバー低下・くすみ・疲労感 | 有酸素運動、睡眠リズム改善、抗酸化食 |
| 細胞老化 (セネッセンス) |
分裂できない老化細胞が炎症性物質を分泌し、周囲に影響 | たるみ・透明感低下・ハリ低下 | 慢性炎症抑制、抗酸化環境、ストレス管理 |
| テロメア短縮 | 染色体末端のテロメアが分裂ごとに短くなり、細胞寿命に影響 | 肌再生鈍化・しわ | ストレス管理、規則正しい生活、運動 |
| エピジェネティック 変化 |
DNA配列は変わらないが、遺伝子の働き方(ON/OFF)が変化 | バリア機能低下・ターンオーバー乱れ | 食事・運動・睡眠の質向上、ポリフェノール摂取 |
| ホルモン応答性低下 | ホルモン分泌や受容体反応が弱まり、体の調整力が低下 | 乾燥・弾力低下・髪質変化 | 睡眠・ストレス管理、栄養バランス、運動 |
| 細胞間コミュニケーション低下 | ホルモンやサイトカインによる情報伝達が鈍化 | ターンオーバー低下・くすみ・弾力低下 | 睡眠、抗炎症食、適度な運動 |
| 細胞膜機能低下 | 脂質二重層のバランスが崩れ、物質輸送や信号伝達に影響 | 乾燥・バリア機能低下 | 必須脂肪酸摂取、抗酸化栄養素、ストレス管理 |
| 免疫老化 | 免疫細胞の数や機能が低下し、炎症が増加 | 肌荒れ・炎症性トラブル | 睡眠、栄養バランス、運動 |
| 幹細胞機能低下 | 組織修復能力を持つ幹細胞の働きが衰え、再生力低下 | 肌再生力低下・ハリやツヤ低下 | 睡眠・栄養・慢性炎症抑制・運動 |
[老化はネットワーク型で進む]
複数の要素が相互に影響する
例を挙げると、
- 酸化ストレス増加
- ↓
- 慢性炎症誘導
- ↓
- ミトコンドリア機能低下
- ↓
- エネルギー不足
- ↓
- 修復力低下
- ↓
- さらに酸化ストレス増加
という循環が起こることがあります。
このように、複数の要素が輪のようにつながる構造を「ネットワーク型」と呼びます。
いくつかの事例をここでみてみましょう。
事例1:炎症だけを抑えた場合
炎症は軽減しても、ミトコンドリアが弱いままだとエネルギー不足は続きます。
結果:疲労感や回復力低下は残ります。
事例2:抗酸化だけを強化した場合
活性酸素は減っても、血糖コントロールが乱れていれば糖化は進みます。
結果:肌の黄ぐすみは改善しにくくなります。
つまり、
「一点集中型」より「複数経路に穏やかに関与するもの」の方がネットワーク型老化には理論的に適している可能性があります。
ここが“複数要素への関与”の意味です。
そのため、全体を見渡す視点が必要になります。
多くの老化要因の“中心”にあると考えられているのが、
- 慢性炎症
- 酸化ストレス
- 細胞膜の質
です。
特に細胞膜は、単なる「細胞の外側の膜」ではありません。炎症を引き起こす物資の材料となり、ホルモンを受け取る“受信アンテナ”の土台ともなり、細胞同士が情報をやりとりする“通信の場”にもなっています。
つまり、細胞膜の状態は、炎症の起こりやすさ、ホルモンの効きやすさ、さらには身体全体のバランスにまで影響しているのです。
問題になるのは「どの種類の脂肪酸が多くなっているか」という点です。
現代の食生活では、炎症を起こす物質の材料になりやすいオメガ6脂肪酸が過剰になりがちです。
一方で、炎症を行き過ぎないように整える働きをもつオメガ3脂肪酸は不足しやすい傾向があります。
つまり重要なのは、脂肪酸が「どちらに偏っているか」です。
この偏りが、慢性炎症の土台に深く関わっています。
[美容との関係]
肌は「内側の状態の鏡」
※表は横にスライドしてご覧いただけます。
| 酸化 | シミ・しわ |
|---|---|
| 慢性炎症 | 赤み・くすみ |
| ミトコンドリア低下 | くすみ |
| 細胞膜低下 | 乾燥 |
| 糖化 | 黄ぐすみ |
| タンパク質劣化 | たるみ |
| ホルモン低下 | ハリ低下 |
こうした変化として現れやすいことが知られています。
美容は「見た目」の問題ではなく、「内側の変化の現れ」ともいえるのです。
生活習慣との関係
- 細胞のエネルギー工場(ミトコンドリア)の働きを高める
- 体にくすぶる慢性的な炎症を抑える
- 血糖を処理する力を高め、インスリンの効きを良くする
その結果、老化に関わる複数の要素を同時に整える方向に働きます。
運動は、ひとつの症状だけでなく、
老化の“つながり全体”にアプローチする方法ともいえるのです。
慢性的な睡眠不足が続くと、体の中で炎症がくすぶりやすくなることが報告されています。
つまり睡眠は、炎症が起こりすぎず、長引かないための大切な時間なのです。
つまり慢性的なストレスは、身体の回復力を弱め、老化に関わる要素を後押しする可能性があります。
炎症、酸化、糖化、細胞膜の質、エネルギー産生・・・など老化に関わるほぼすべての要素に影響します。食事は、身体の中の“スイッチ”のようなものです。何を食べるかは、身体の中の炎症や酸化、エネルギーの状態に直接影響します。
つまり、身体を健康に整える方向にするか、老化を進めやすくするかを左右するのです。
◎炎症や酸化への影響
クリルオイルに含まれるオメガ 3脂肪酸(EPA・DHA)や抗酸化成分のアスタキサンチンは、体内で起こる酸化や炎症の反応に働きかけることが研究で示されています。
これにより、老化に関わる細胞レベルの負担を和らげる可能性があります。
◎神経や細胞の健康の維持(基礎研究)
動物や細胞を使った実験では、クリルオイルが細胞の損傷を抑え、老化に伴う変化をゆるやかにすることが報告されています。
◎肌や美容への影響
ヒトを対象とした研究では、クリルオイルの摂取により肌のバリア機能や水分保持力が改善されることが確認されました。
これは、肌の健康や美容を支える可能性を示す結果です。
まとめ
老化は自然な現象です。しかし、進行速度は生活によって変わります。
老化は、単一の原因ではなく、複数の要素が絡み合うネットワーク型の現象と考えられています。
そのため
一部分だけを見るのではなく、生活全体を整える
という視点が重要になります。
老化は止める対象ではなく、
理解し、調整し、穏やかに付き合うもの。
それが未来の健康と美しさを守る第一歩です。
次回も引き続き読者のみなさまに寄り添った内容で、「矢澤博士に聞いてみよう」をお送りいたします。
読者の皆さまからのご質問やご意見などを引き続きお寄せください。
ご質問は、contents@krilloil.or.jpまでお送りください。
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